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平成24年2月6日(月)

静岡大学名誉教授
NPO法人西域生態系保全フォーラム理事長
大石 惇 様

 


 

果物のふるさと「西域」




大石 惇 様
 中央アジア一帯は、ユーラシア大陸のほぼ中央にあって、シルクロードを通して東西文化の融合地域として栄えた。新彊ほ東西に平行して走るアルタイ(4,000m級)、天山(5〜6,000m級)、崑崙(6〜7,000m級)山脈と南北に連なるカラコルム山脈(8,000m級)の四つの大山脈が走っている、標高差の大きい極めて変化に富んだ複雑な地形を持っている。山脈の間や周辺には、タクラマカン砂漠や大小の砂漠、また、高原、盆地、扇状地、湖沼等が多数存在している。
 4,000m以上の標高の高い氷雪帯から下って森林帯、草原帯、農耕地帯、砂漠地帯へと垂直分布をなし、至近距離の範囲に大きく異なる自然界境が存在し、動植物の多様性に富む地域をなしている。複雑で険しい山岳地形は、微妙に異なる環境を形作り、それが植物の進化に大きく関わって、多様な変種を生み出し、これまで「天然の種の保存場」となってきた。
 中央アジア一帯は、栽培植物起源論的に「中央アジア中心」と呼ばれる世界の八大起源地の一つであり、リンゴをはじめ西洋ナシ、サクランボ、アーモンド、ピスタチオ、クルミ、ソラマメ、ネギ、ホウレンソウなどの主要な作物の起源地とされている。その他、薬草類、工芸作物、園芸植物になりうる高山植物も多い。
 特に中国新彊ウイグル自治区は、年間降雨量が約20mmという極限状態の砂漠地帯から、約1,000ミリ前後という山岳地帯まで存在しているが、全体的には半乾燥地に属している。大気は乾燥し日射量は豊富で、特に果実を利用する果樹や果菜類は、品質の良いものが生産される。高山に氷河の状態で残っている天然のダムからの融雪水がオアシスを形成し、それらが人々の生産活動から生活のすべてを支えている。
 このように半乾燥地特有の過酷な環境と、生態系との微妙なバランスの上に成り立っている地域であり、一旦その生態系が崩れると、雨の豊かな地域とは比較にならないほど回復力が脆弱である。
 新彊のタクラマカン沙漠やジュンガル盆地には、大油田が発見され、その他石炭はもちろん、先端的工業製品に欠かせないレアアース等の大量の埋蔵が確熟され、急速な地下資源の開発と工業化が進み、それに伴う人口の急増、食糧需要の増大から、農業開発と過放牧が急激に伸びている。
 このような考えのもとに、豊富な野生植物の生息地である天山北麓の伊犂州新甑県に、日中共同で植物の野生種を保存し、その特性を調査し活用して行くため、100baの「天山有用植物資源圃」を、1992年から8年がかりで日中共同で建設してきました。
 この施設が昨年、伊犂州からや野生果樹の研究機関として認可され、今後研究スタッフの充実を図り、野生植物の遺伝的特性の評価、家畜の放牧と植物遺伝資振の共存、地域住民への環境資源の大切さなどの普及活動を進めて行きたいと思っています。

 

 

 

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