クラブ週報

１１月３０日に社内の研修があり元通産省で現在リクルートワークス主任研修員の古屋星斗（しょうと）という人の講演を聞いてきました。この人は、キャリア形成、労働市場研究が専門の方です。
今日は、ちょっとだけ内容を紹介します。要は、労働力不足の話です。今までの人手不足は、景気の循環や企業業績に連動して起こってきましたが、これからは恒常的にその状態が続き、常に労働供給量がボトルネックになるということです。
私がこの時間で以前お話しした２０２４年問題そのものでした。
２０２４年問題は、取り残されていた介護・医療・物流・建設の労働時間の制約が強化されることで人材不足が顕著になるというものです。
この古屋氏いわく、例えば、２０４０年には、ドライバー不足が２４％になり、荷物が届けられない地域が発生、荷物が届くか否かで住むところを決める時代になる。実質日本の４分の１が事実上居住不可能になる。
建設作業に従事する施工管理者、オペレーターが慢性的に不足して（２０４０年２２％不足）メンテナンスの必要な道路の内７８％しか修繕できなくなる。地方の道路は、穴だらけ。結果移動にかかる時間が、大幅増加。
医療スタッフの不足（２０４０年１７．５％）病院設備はあるが、スタッフ不足により診察までの長蛇の列、救急車の立ち往生が常態化。などです。
ではどうしてこの労働需要と労働供給のギャップを埋めていくのか。
彼曰く、労働需要を下げるには、無駄の削減。
労働供給を上げるには、
・機械化、自動化　　・シニアの小さな仕事　　・ワーキッシアクト
の３点といっていました。
個人的には、女性の労働力向上もあると思っていたのですが、日本の女性労働力は、この１０年で飛躍的の向上しており、現行制度では、ほぼ限界に達しているという見解でした。確かに上場企業に義務化されている有価証券報告書にも女性管理職割合や男女の賃金格差の記載が義務化されたことなど、量から質に変化しているとも言えます。
また、量的な話で現行制度を変えるために政府は、１０３万円の壁に対する対処をするようです。
先ほどの労働供給増加のための３点の中で判りにくい、ワーキッシュアクト（Workish Act）とは彼の造語のようですが、本業の労働・仕事以外の活動で誰かを手助けすることでの報酬（金銭報酬・心理報酬・社会的報酬等）を得ることに期待するというものだそうです。
自分は、彼の話を聞きながら、特に思ったのは、これらの方策を駆使しても解決にはならない。しかしながら１０年の猶予を造ろうという結びでした。